縁結びを祈願するといえば、出雲大社に代表されるように、日本では神さまにお祈りするのが一般的です。神さまといえば、とうぜん神社に出かけて行って良縁をお祈りするということになります。その点、仏教では縁結びを祈願するという話は、あまり聞こえてきません。愛欲は克服すべき煩悩ということであって、縁結びのご利益が期待できそうにないということかもしれません。
とはいえ、聖徳太子によって建立された四天王寺の施薬院は、今日、愛染堂として知られ、周知のように愛染明王が祀られています。愛染明王は、不動明王などと同じ、なかなか怖い顔をした縁結びの仏(ほとけ)さまです。六本の手には弓矢などを携えていて、人びとを悪魔から守っています。朱色の身体と凄まじい憤怒の表情は、煩悩である愛欲を悟りに変えてしまうことを教えている姿です。つまり、人びとの嫉妬心や支配欲を戒めているのです。少しとっつきにくいと言えば、そうかもしれません。
その点で、道端にいて、人びとを優しく見守ってくれているのがお地蔵さまです。観音菩薩をはじめ、多くの菩薩さまが存在していますが、地蔵菩薩は、人びとに親しみやすいお姿をしていて、もちろんお祈りをすれば良縁が授かる菩薩さまです。地蔵菩薩のご真言は「おん かか かびさんまえ そわか」です。このご真言を唱えて、祈願すれば、きっと素晴らしい良縁がめぐってくるはずです。
願わくば、至る所でこうした地蔵菩薩さまにお会できると嬉しいですね。写真は、たまたま見つけた良縁地蔵さまです。オン カカ カビサンマエ ソワカ。オン カカ カビサンマエ、サワカ。
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